高度の専門性と調査能力を活かした社会的正義の実現 医療事故・犯罪被害者支援・刑事弁護・コンプライアンス・相続・各種民事事件
HOME > お知らせ > 取扱いと進め方 > 9、アスベスト問題

9、アスベスト問題

クボタショック後の平成17年からアスベスト問題に取り組み、大阪アスベスト弁護団の活動を通じて、多数の労災申請やアスベスト訴訟を成功させてきました。豊富な経験に基づき,どのような補償,解決がありうるのか,ご説明の上,ご要望があれば,事案に応じて可能な手続きを進めます。以下のような手続きがありますます。 健康管理手帳の申請,労災申請,行政訴訟,新法申請,企業との示談交渉・損害賠償請求訴訟,国家賠償請求訴訟

キーワード

アスベスト 石綿(せきめん、いしわた) 中皮腫 肺がん 石綿肺 石綿紡織業 内務省保険院調査 ドール報告 ニューヨークアカデミー クボタショック 泉南アスベスト訴訟 局所排気装置 建設アスベスト訴訟 近鉄高架下事件 石綿含有建材

1 アスベストとは

石綿(せきめん、いしわた)、アスベストは同じ意味です。

天然に多量に産出される鉱物の一種で、熱に強い(耐熱性)、化学作用に強い(耐酸性)、柔軟性がある、軽い等の数々の特徴があり、半永久的に存在するため、消防士の消防服、発電所の保温材から、電車のシート、自動車のクラッチ・ブレーキ、建物の建材、化粧品、オーブントースター、ドライヤー、理科の実験に使う石綿金網など、私たちの身の回りのいたるところで、使用禁止された平成17年まで用いられ、現在でも、建材などに多く残っています。

鉱物学上のアスベストは,一定の繊維状の構造を持つ鉱物の総称で、複数の種類がありますが、我が国で一般的なのは、白石綿(クリソタイル)、青石綿(クロシドライト)、茶石綿(アモサイト)の3種です。

2 アスベストによる健康被害

アスベストが引き起こす主な疾患(石綿関連疾患といいます)として、肺がん、中皮腫、石綿肺、びまん性胸膜肥厚があります。

アスベストは、数ミクロン以下の微小で細長い繊維が結合した鉱物であり、この繊維は極めて微小で細長く、飛散し易く、これを吸い込むと、肺まで到達して肺に突き刺さり、殆ど体外に排出されません。

そのメカニズムは未だ解明されていませんが、こうして体内に残存するアスベスト繊維が、生体に刺激を与え続け、肺がん、中皮腫(胸膜中皮腫、腹膜中皮腫)、石綿肺、びまん性胸膜肥厚、合併症としての続発性気管支炎、肺結核等を引き起こします。

石綿関連疾患は、暴露から発症までの潜伏期間が10年から50年と長く、潜伏期間が長いことが、予防対策を困難としてきました。

これらの石綿関連疾患は、石綿を多く吸引すればするほど発症可能性が高まる(量反応関係)、石綿を吸引しなくても進行し続け(進行性)、元に戻ることはない(不可逆性)という恐ろしい性質を持ち、現在も有効な治療方法がないため、数多くの方が石綿関連疾患で亡くなり続けています。

3 アスベスト被害の歴史

アスベストによる健康被害の報告は、アスベスト疾患の潜伏期間と対応しています。

アスベストの工業的利用は、1870年頃から始まり、それから約20年が経過した19世紀末以降、欧米において、石綿紡織工場の労働者に石綿肺が多発していることが報告され、1930年代以降は、同様に肺がんが多発していることが報告され、1955年のドール博士の報告により、アスベストと肺がんの関連性が疫学的に証明されました。さらに、1964年には、国際会議ニューヨークアカデミーにおいて、アフリカの石綿鉱山の周辺住民に中皮腫が多発しているという環境ばく露による被害が報告されるに至り、国際的に注目され、アスベストの危険性認識は決定的となりました。

アスベスト被害は、戦前は、石綿紡織工場を中心に発生し、戦後は、石綿製品の使用場面である造船及び建設業の労働者に拡大し、さらに、石綿建材を用いた建物の居住者の被害(近鉄高架下事件)、クボタショックに見られるような環境暴露による被害が発生しています。

4 アスベスト被害の社会問題化

 欧米では,1930年代から石綿紡織工場での労働者の健康被害が社会問題化し,石綿製品の製造現場を対象とする規制が開始されました。戦後は,ニューヨークアカデミー後の1960年代後半から,建設作業,造船作業などの石綿製品の使用場面及び石綿工場の周辺の環境ばく露による肺がん・中皮腫の危険が社会問題となり,米国では,1970年以降,アスベスト製品製造企業に対する訴訟が激増し,最大手のジョンマンビル社は,訴訟負担に耐えられず,1982年に倒産しました。肺がん及び中皮腫に対しては,閾値(安全なばく露濃度)がないとされたことから,欧米各国では,1970年前後から,年々,規制が強化され続け,アイスランドやノルウエーなどの一部の国では1980年代前半からアスベストの使用が禁止され,その他の国も,1980年代から1990年代にかけて,次々と使用禁止に踏み切りました。

これに対し,日本では,政府と大手の石綿製品製造企業は,海外情報から,上記のような海外情勢を把握しており,1971年,特定化学物質等障害予防規則により,アスベストの発がん性を意識した規制が開始され,その危険性が新聞報道されたことがありましたが,散発的なものにとどまり,社会問題化は大きく遅れました。日本でアスベストの危険性が広く知られるようになったのは,2005(平成17)年のクボッタショックの報道以降です。クボタショックは,尼崎市のクボタの旧神崎工場で石綿製品である水道管の製造作業に従事していた同社従業員と周辺住民の間で,石綿肺,肺がん,中皮腫等の石綿関連疾患が多発していることが公表され,社会問題化した出来事を指します。クボタは,同工場の従業員74名が死亡し,中皮腫を発症した周辺住民3名に見舞金200万円を出すと報道し,その後も,被害が増大し続けました。

5 アスベスト訴訟

アスベスト訴訟は,上述したようなアスベストによる健康被害に遭った人が,工場経営者や石綿製品製造メーカー,国等に対する損害賠償を求める訴訟の総称です。①労働者が勤務先企業を訴えるケース(これまでは最も一般的),②工場の周辺住民が工場を経営する企業を訴えるケース(クボタ訴訟),③工場の労働者や周辺住民が国を訴えるケース(泉南アスベスト訴訟,クボタ訴訟),④石綿製品のユーザーが石綿製品製造企業を訴えるケース(米国のこのケースが大部分です。日本では建設アスベスト訴訟がこれに当たります),⑤その他のケース(近鉄高架下事件)に大別できます。

国を相手にした最初のアスベスト訴訟は,1977年,長野県の石綿紡織工場の労働者が,勤務先の平和石綿工業,実質親会社の朝日石綿工業(現株式会社エーアンドエーマテリアル)及び国を訴えた長野じん肺訴訟であり,1986年,原告が平和石綿と朝日石綿に勝訴する判決が出され,国の責任は認められませんでした。

国だけを被告として提訴し,初めて国に勝訴した訴訟が,次に述べる泉南アスベスト訴訟です。

6 泉南アスベスト訴訟(泉南アスベスト国家賠償請求事件)

泉南アスベスト訴訟は,大阪泉南地域の石綿紡織工場の元労働者及び近隣住民の方が,規制を怠った国に対する責任を追及するため,2006(平成18)年に提起した訴訟です。勤務先企業ではなく,国のみを被告としているのは,①泉南地域の石綿紡織工場群の大部分は,従業員が数名から十数名という超零細企業であるため,工場経営者にも危険性認識がないか,乏しかったこと,②しかも,その大部分は既に倒産又は廃業し,存在しないこと,③被害を発生・拡大させた最大の原因は,国が規制を怠ったことにあるからです。国は,戦前は,石綿紡製品の最大のユーザーであり(軍艦などの軍事製品に使用),戦前から被害の発生拡大を知りながら,戦後も規制を怠り続けました。

同訴訟は,平成18年に提訴した1陣訴訟と平成20年に提訴した2陣訴訟に分かれ,2014年5月現在の進行状況は次のとおりです。

1陣訴訟 2006年5月26日提訴 被害者数26名  大阪地裁判決 原告勝訴 大阪高裁判決 原告全面敗訴 最高裁継続中

2陣訴訟 2009年9月24日提訴 被害者数33名  大阪地裁判決 原告勝訴 大阪高裁判決 原告全面勝訴 最高裁継続中

7 建設アスベスト訴訟

8 労災申請、健康管理手帳

 

PAGE TOP