強制執行を実行することは、しばしばではないですが、時々あります。多くは、勝訴判決を得たが、相手が任意に支払わない場合です。
債務者の不動産に抵当権を付けているような場合を除くと、以下の2つの問題があり、どちらも簡単ではない場合が多いです。
1の債務名義の取得を進めている段階でも、相手が任意に支払わない可能性が高い場合、2を考慮しながら進め、準備を並行します。
ここでは、強制執行固有の問題である2について解説します。
1 債務名義(判決、公正証書)があるかどうか、債務名義を得られるかどうか。
2 差押え可能な資産があるかどうか、対象資産の金融機関名(支店名はともかく)、不動産の場所、車の所有者・ナンバー等を特定できるかどうか。
通常、押さえる資産は、金融機関の預金・金庫、生命保険等の解約返戻金、債務者の債権(売掛金)、車、不動産、在庫商品、
債務者の自宅や営業所内の現金、機械類です。
上記以外は、まずやることがなく、最後の二つも、最後の手段的位置付けであり、殆どやりません(私は債務者の自宅の動産執行を2回やったことがありますが、驚かれました)。以下、留意事項を述べます。
預金 多額の預金がある口座を見つけるのが難しい。(債務名義として確定判決を取得している場合)弁護士会を通じて金融機関に照会すると、回答してくれる場合があるが、全部の金融機関に照会するわけにはいかないので、債務者の口座がありそうな金融機関に照会する。調査は限界が大きい。
保険金 同様に見つけるのが難しい。
債権 存在が分かってる場合は、差押え易い。
不動産 存在が分かっていて、抵当権等の担保権が付いてない場合、重要ターゲットになる。
車 現物を見てナンバーを把握し、陸運局に照会して名義人を特定する。
差押えのための工夫・対策
訴訟前に、出来れば訴訟外の正式な請求の前に、債務者とコミュニケーションが取れる間に、債務者の取引先、勤務先等を含め、資産を把握しておく。
民事訴訟の過程で、債務者の預金を見つける等、資産の把握を意識して訴訟追行する。
被告を複数に出来る場合、差押え可能な資産を保有してそうな者を被告に加える。
民事訴訟を起こす前に仮処分を申し立てておき、引き続いて訴訟提起する。